帰れない二人

去年の今頃はまだテキサスは営業していて、代官山通っていたんだなって。

買い物の帰り道、風が冷たくて、コートに手を入れながら歩いていた。

1年前のこと、私は伊藤さんと2人で駅に向かって歩くのが好きだった。

なんとなくそんな風に一緒にいることが心地よくて、いつまでもこんな時間が続けばいいな、なんて思ってた。きっと伊藤さんもそう感じていてと思う。

何か特別なことを話すわけでもなく、ただ一緒に歩いていく。

伊藤さんは私にとっては、ちょっと特別な人なのです。幸せになってほしい人。

私が唯一自分から連絡を取る人。大切な存在。

ちょうど1年前の冬、私はこの曲を口ずさんんでいた。帰れない二人。

伊藤さんは、帰れない二人ですね。って。

幸せな瞬間にふと口ずさんでしまったその曲。気付かれて少し恥ずかしかった。

その時感じた寂しさ、切なさが体の中に蘇ってきた。

胸が苦しくて、ぎゅっと締め付けられるんだけど、大切な私の記憶。

神様、ありがとう。